山本 文雅(やまもと ぶんが)
岩石のような風合いで作られた酒器や花器を「ロック・シリーズ」と名付けている。生まれて育った黒髪山の登山口で拾った奇妙な形をした石に魅せられた。少し固くなった陶土の塊を拾った石で叩く。中をくり抜いて成形する。バーナーで外側を焼く。ひび割れを起こさせ、また金属へらで削り取る。根気よくこれを繰り返して作られる作品は、ひとつとして同じものがない。親の跡を継いで窯をやると決めたころから、人まねでなく、人とは違う分野を目指した結果の「くり抜き技法」である。名門・有田工業高校は窯業科でなくデザイン科で学ぶ。どの作品もどこかいわゆる「有田」を突き抜けている。ただ有田で育った誇りとして磁器もやるし、大好きな陶器もやる。山水の絵のような黒髪山を背景に、ブンガ焼が出張っている。